不動産屋が教える本当はつらい大家さんの悲しい現状の実話です。不動産投資の波に載せられてしまった大家さんたちの悲しい現状を綴っていきます。

本当はつらい不動産投資

家賃滞納の話

家賃滞納で人は豹変する、低姿勢な人ほど怖い

更新日:

Nebuta ikari

人間ってお金が絡むと人が変わる人がいるっていうことを良く聞くと思いますが、まさにお金が絡む事で人が変わった人がいたので紹介します。

 

その人は、リクルートの無料情報誌の「SUUMO」を見てくれて来店しました。来店してくれた時はとても人柄が良く、低姿勢な良い人だと思いました。年齢は40歳前後で、広告関係の社長をしているという話です。条件としては1人暮らしで駅に近いところという条件をもらったので、その条件で物件を探し始めました。

 

 

 

いくつかのマンションを紹介して、会社の経営者だから当然なのかもしれないですが、1人暮らしにしては高級なマンションに決めてくれました。どうやら以前は結婚していたけど、離婚して1人になったので新しく部屋を探していたという話です。

 

・マンションの内覧では人当たりが良さそうな人

話をしていると、とても低姿勢な態度で人の良さそうな人でした。お客さんが早めに住みたいというので、書類手続きや大家さんの了承を早めに取るためにがんばって間に合わせようと「がんばります!」というと、申し訳なさそうにいつも「すいません。」と言ってくれます。不動産業界にはいろんなお客さんが来ますが、圧倒的に感じのよいお客さんだと思いました。

とりあえず、一番最初に必要な書類として、身分証明書と詳細な身分の状況を書いた「申込書」を出してもらいました。申込書を確認すると契約はこのお客さんが代表になっている会社での「会社契約」で、連帯保証人はこのお客さん個人がなるという形です。

ある程度規模のある会社の場合はこれでも良いですが、このお客さんの会社の場合は事務所もアパートの一室になっているので、正直、ちょっと怪しい。いろんな申込書を見るとなんとなく滞納しそうな人とか、トラブル起こしそうな人とか、面倒な人とかがわかるようになってくるのですが、この人の場合の判定は「グレー」です。

申込書の雰囲気だとあまり乗り気ではないですが、申込書だけで判断できない場合はあとは人柄で判断するしかないのですが、人柄は、、、、人当たりが良く低姿勢で文句をつけるところがありません。とりあえず、上司に報告すると承諾が出たので、入居することになりました。

 

 

・入居1年ほどで家賃が遅れがちに

入居1年ほどでだんだんと家賃が遅れがちになってきました。電話で家賃の催促をすると、「すいません。○日には支払います。」という答えで、その言った日にはちゃんと振込があったので、安心していました。しかし、だんだんと約束した日から1日遅れ、2日遅れ、ついには丸々一ヶ月遅れるようになり、完全な滞納者になってしまいました。

しかし、電話で催促するときはいつも低姿勢。

「今ちょっと仕事の入金がなくて、あと一週間でなんとかします。」

「ちょっと先方の入金が遅れてて、あと一週間で家賃払えます。」

など、ちゃんと前向きな話を低姿勢な態度でしてくれました。しかし、どんどん遅れが目立ってきたので、とりあえず書面を書いてもらうことになりました。電話で話をして、会社まで来てもらい、書面に

「次回の家賃支払い予定日に一日でも遅れた場合には、即刻部屋から荷物を出して明け渡し鍵を返却する」

という旨の書面に署名と捺印をしてもらいました。しかし、このときも低姿勢。

呼び出して、会社に来てもらったときも

「ご迷惑をお掛けして、手間取らせてすいません」

と、いいながら入ってきて、書面を出してもごねる事もなくすんなりと書面と捺印を押してくれました。とはいえ、これで次に入金がなかったらさすがに出て行ってもらわないといけません。とりあえず、書面をもらってその後は少し様子を見る事にしました。

 

 

・結局、約束の日に支払えず家に訪問

その後、書面に書いてもらった約束の期日まで待ちましたが入金もなく、「もし約束の日に無理だったら連絡ください」と言ってあったのに連絡もなく。

いくら丁寧な低姿勢で話をされても行動が伴わないと意味がありません。さっそく、家に催促に行きました。夜あまり遅い時間にいきなり行くと逆にそのことを怒られて話が出来なくなる可能性もあるため、まずは夜の七時くらいに訪問。ドアスコープから光が漏れているので中に人はいるようです。

とりあえずチャイムを鳴らします。

「ピ〜ンポ〜ン」

、、

、、、

反応無し。ドアの光が漏れているので、いることはわかります。続いてもう一度、

「ピ〜ンポ〜〜〜〜ン」

、、

、、、

それでも反応無し。さすがにこちらもここまで来たら悠長なことをしてられないので、

「すいませ〜〜ん。〇〇さ〜〜ん。マンションの管理会社の〇〇ですけど家賃の件できました〜〜。

 中にいるのはわかってるので、出てきてくれませんか〜〜。

 こちらも急がしいので出てきてくれないとずっとチャイム鳴らしますよ〜〜〜。」

と、言いながらひたすらチャイムを押します。

優しい声でいいながらも結構うざい攻撃なので、もし中に人がいれば大抵これで反応して出てきてくれます。

すると、ドアホン越しに、

「はい」

と、明らかに不機嫌そうな声、

「管理会社の〇〇ですけど、〇〇さん先日払うって約束してくれた日付に入金がなかったんですけど、どうなってますか?」

と、聞くといつもの優しげな声と違い、

「今忙しいんだよ! 今度払うから帰れ!」

と、いつもと完全に違いドスの利いた声です。しかし、こんなことでひるんでいたのでは不動産会社のマンションの管理なんて出来ないので、

「いつなら払えますか?」

と、聞くと。

「わからん。とりあえず、今は急がしいから帰れ!」

と、また同じ事の繰り返し。

「じゃあ、いつなら時間があるんですか?」

「明日の夕方なら大丈夫だと思う」

「じゃあ明日の夕方に判子もって会社に来てください」

「わかったから早く帰れ!」

「約束しましたよ。明日来ないと勝手に鍵変えられても知りませんよ」

と、いう感じでなんとか約束を取り付けました。まあ、こんな人の約束なんて守ってもらえるかどうかわかりませんが、実際のところは勝手に鍵を替えて荷物を出したりしたら損害賠償を請求されることもあるので、勝手にはできないのでこういう回りくどいことをしないといけません。そして、次の日。

 

 

・滞納者が来た!

約束通り、そして、時間通りに滞納者が会社にやってきました。しかも、しゃべり方はまた最初と同じ丁寧な口調で、

「昨日はすいませんでした。バタバタしていたので。」

と、また低姿勢に戻って謝ってきます。訳がわかりません。しかし、ここまできたら態度がどうこうというより退去の話をするしかないので、本日の話の趣旨であるいつまでに退去できるかという話を切り出しました。すると、

「すいません。もう少し待ってください。○日には必ず払えるので」

と、また低姿勢でお願いしてきます。しかし、何度待っても滞納をしてきたし、信頼関係の基本である滞納後の連絡が取れなくなったので、僕としてはもうかばう事ができません。とにかく結論としては出てってもらうしかないので、そのことを伝えて、方向性が変わることがないということを伝えると、

「あ〜じゃあいいよ。勝手にしろ。部屋ぐちゃぐちゃにして出てってやるからな。」

と、いきなり態度を変えました。しかも、相手への威嚇方法がちょっと本職の人っぽい感じです。新人の頃ならビビりましたが、正直、こういう人には何度も会っているので、またか、という感じです。結局、その日は無理矢理○月○日までに退去するという誓約書を書いてもらい帰ってもらいました。それにしても最初と態度が変わり過ぎです。今まで見てきた中でも一番声のトーンやドスの利かせ方で脅し方がうまい人でした。もしかしたら昔はそっち系の人だったかもしれません。ヤクザも普通のときは優しい態度だと聞きましたが、まさにそんな感じでした。優しそうな人ほど裏は怖いということを身を以て学びました。

 

 

・その後

結局、部屋をぐちゃぐちゃにすることは諦めたのか、期日に僕がいないときに会社に鍵を帰しにきてどこかへ行ってしまったそうです。返してもらった鍵で部屋に入ると物もなくすっきりしていました。以外にきれいに使っていたようで安心しました。

結局、敷金から滞納分を差し引いて部屋のリフォームをしても少し足が出てしまう形になり、大家さんに負担してもらうことになりました。

この事件以来入居者の審査がますます冴えて怪しい人を見抜くのがうまくなりました。あまりにも丁寧な態度を取る人には要注意ですね。

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